今日もはっと息を飲む帽子ストーリーを探して。
いろいろな種類の帽子がありますが、中折れハットは定番の帽子ですね。
その中折れハットの中に、少し独特の形の帽子、ホンブルグという帽子があります。
一体どんな帽子で、コーディネート、またどうやって生まれたのか?ご紹介してみたいと思います。
目次
ホンブルグハットをスーツにコーディネート
ホンブルグハットは小ぶりな中折れハット。
ブリムはカーブしていて、クラシックな雰囲気がある帽子です。
もともとスーツの原型といわれるラウンジコートなどに合わせられていて、その後かのチャーチルもスーツにホンブルグを合わせていました。
ホンブルグハットのホンブルグですが、ドイツの地名です。
ホンブルグ誕生 英国皇太子に献上された帽子
ホンブルグは、この絵のチロリアンハットにヒントがあります。
1888年3月9日に、プロイセン(現在のドイツ)のウィルヘルム1世がこの世を去りました。父はドイツ人のアルバート公、母は英国人エリザベス女王という洒落者と呼ばれたエドワード7世はこの葬儀に参加しました。
この当時、ドイツのホンブルグという場所に、帽子工場がありました。この工場ではブリム(つば)が広いチロル地方の民族衣装の上にかぶるチロリアンハットを作っていました。
エドワード7世(皇太子)がいらっしゃる、ということで職人たちはチロリアンハットの製法を利用して、新しい形の帽子をプレゼントすることを思いつきます。プレゼントして人気が出ればこれほど嬉しいことはありませんから、着用してもらえるかどうかはともかく、品物を献上するということはよくあります。
クラウン(山)を高く設計してブリム(つば)は短く帽子を設計しました。
この帽子がホンブルグハットです。
ホンブルグというネーミング
洒落者エドワード7世はホンブルグをとても気に入りました。
ちょうどファッションも大転換期だっとことも少なくありません。これまで着丈の長いフロックコートに、シルクハット(トップハット)を合わせていたのですが、着丈の短いラウンジコート(今のスーツの原型と言われている)を着るようになっていたのです。
モーニングコートの原型とも言われるフロックコートのようなカッチリした服に合わせる帽子では、スーツのような服には硬すぎる。
そこにこのホンブルグは、実際にちょっと柔らかいし、四角形の帽子ではなくて、中折れタイプ。洒落者の心に刺さったというわけです。
最初のホンブルグはクラウンが高かった
1890年のアメリカのファッションカタログによれば、中央上段にあるホンブルグの横にあるように、トールホンブルグというタイプがあったことがわかります。
ホンブルグの流行はイギリスから海を超えてアメリカに伝わりました。
1888年にホンブルグという言葉が生まれたとして、イギリスからすぐにアメリカに流行が伝わっていたということです。
実際にエドワード7世が献上されたホンブルグは、トールホンブルグに近い高いクラウンだったようです。
フランスでエデンと呼ばれる理由
ホンブルグのことをフランスではエデンと呼び、英国の仕立て屋街のサヴィルロウでは仲間内の言葉で、ホンブルグハットのことをイーデンと呼ぶことがあります。
エデンもイーデンも同じ人の名前で、英語読みでイーデンという人物です。洒落物が好んでかぶったのがホンブルグハットだったわけです。
外務大臣を経て英国首相にもなった人物で、非常に洒落者でした。
ピークドラペルの3つボタンスーツを流行らせた人物でもあります。
イーデンと関係が深いのが、かのチャーチルです。
チャーチルはハーバートジョンソンという帽子屋でホンブルグハットを作りました。
チャーチルはイーデンにとっては大先輩ですから、
「チャーチル先輩、大変素敵な帽子ございますね!」
「そうかい。イーデン君も似た物を作ってもらったらどうだね。」
というやりとりがあったのかもしれません、ですがさすがにまったく同じではいけない!と思ったのか、イーデンは少しだけ柔らかいホンブルグハットをかぶっていたそうです。
おすすめのホンブルグハット
現代ではホンブルグハットは、帽子屋に行っても必ず置いてある帽子ではないようです。
ブリム(つば)も程よく小ぶりで、カーブしていますからとてもお洒落で、日本人にも馴染みやすい、合わせやすい帽子だと思います。
ホンブルグハットの素材のおすすめとしては、やはりラビットファー(兎毛)を使ったものが良いとされます。
ここでは編集部おすすめのホンブルグをご紹介してみたいと思います。
オプラビット
1799年創業、200年を超える歴史とを持ち、ファーフェルトハットを中心に世界50ヵ国以上に輸出されているトナックが出しているホンブルグハットです。
ラビットファーフェルト100%なのはもちろん、黒い艶あるグログランリボンが帽子との良いコントラストになっていて上品です。
形もいいですよね、ブリム(つば)の幅も日本人に合うミディアムな幅。
フォーマルはもちろんですが、スーツスタイルやカジュアルスタイルに取り入れてみても素敵な帽子です。
おすすめ帽子店
男性の帽子はホンブルグをはじめ、種類もそうだが、品質も様々ですね。
時谷堂百貨はヨーロッパやエクアドルで100年以上続く日本未発売の帽子ブランドなどを開拓し、直接仕入れを行って、オンラインショップで販売しているそうです。そのため価格が店頭で有名ブランドを購入するよりも品質の割にリーズナブルです。
最初はオンラインで帽子を購入して大丈夫なのか?と思いました。
ただ、ここはかぶってサイズが合わなければ送料無料で何度も試せる、無料試着サービスがあるんですよね。
実際に私も、店員さんのいる場所で試着するのはどうも気がひけるのです。その点では自宅でゆっくり確かめられるのが良い点でした。
一度サイズさえわかれば、あとはかぶって確かめるだけなので、編集長の私も時谷堂の帽子はいくつも持っていて、とても気に入っています。
トラヤ帽子店
もう1つおすすめしたいのが、銀座トラヤ帽子店です。
ご存知の方も多いと思いますが、大正六年創業という歴史ある帽子の名店ですよね。
ソフトハットやパナマハットなどで数々の取り扱いのある帽子屋です。
トラヤ帽子店は銀座の他に浅草店もあります。
ヨーロッパ、アメリカから日本人に向けのセレクションをしされていて、私の先輩も愛用しているお店です。ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょう?
トラヤ帽子店(銀座店)
住所:東京都中央区銀座2-6-5
営業時間 :10:30~19:30
定休:日曜
まとめ
ホンブルグハットは中折れハットの一種。
カーブしたブリム(つば)が特徴で、ソフトハットよりは固めです。
洒落者エドワード7世がチロリアンハットを作っていた帽子メーカーから献上され、ちょうどファッションもフロックコートから現在のスーツのスタイルにシフトした時に、ホンブルグハットをコーディネートしました。
そしてチャーチルも愛し、部下のイーデンもかぶりました。
スーツに、ジャケットに、またコートに合わせたいホンブルグハット。
1つ持っておいても良さそうですね。
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