今日もはっと息を飲む帽子ストーリーを探して。ハットスタイル編集長の松はじめです。
ブルックスブラザーズ展は、2018年11月30日まで文化学園服飾博物館で開催されていた展覧会です。
200年の歴史が詰まった展示物だちには感動を覚えました。
私自身もブルックスブラザーズのレップタイは私も何本も持っています。
もともとアメリカの上流階級向けアパレルブランドを創業し、歴史とともに刻んできた服はまさにアートですよね。
さて、そんな中展示されていたのがこちら。
カンカン帽(ボーターハット)
1910年代製作のラクーンのオーバーコートとカンカン帽。
カンカン帽は、日本語です。これはたたくとカンカンと音がする、ということでカンカン帽になったという説が有力です。
これはストローボーターハットを略して、ボーターともいいます。
ボーターは船を漕ぐ人という意味なんです。
1874年ごろからボーターという言葉が使われていると辞書には載っています。には載っている。
1863年のイラストレーテッドロンドンニューズという新聞には、オックスフォード対ケンブリッジのボートレースの紹介で、フラットストローハットと書かれている記事があるんですね。
パブリックスクール(ケンブリッジなど)の同級生などで話す俗語では、ストラッドと言うんです。
さてボートレースは、一年中夏服で競技しました。
そして、ボートを漕いでいると帽子が飛ばされてしまうことがあるわけです。
川に沈まない帽子はないだろうか?
ハーローという先生が、バーンズという帽子店に行き、依頼したといいます。
「それじゃあしばらく帽子が川に浮いてればいいのね?」とニスのようなもの、ゴムのりのようなものを帽子に塗って、熱を加えて固めたわけです。
こういうところからカンカン帽は生まれ、大ヒットしました。
ちなみにコートのラクーンというのはアライグマです。
1920年代にかけて、ラクーンのコートを駆逐する勢いで、あるコートが大流行したといいます。それがポロコート。
アメリカ東部の富裕層たちのスポーツ観戦用のコートとして流行ったのでした。
トップハット(シルクハット)
こちらは20世紀初め、創業者の孫、フレデリック・ブルックスがブルックスブラザーズのヴァイスプレジデントを務めていた当時のイギリス製の生地を使って製作されたというモーニングコート一式です。
現代ではモーニングは午前&日中の正装なんですが、これもともと乗馬服なんです。だから乗馬仕様としてフロントが丸くカットされています。跨りやすいんです。
モーニングコートやフロックコートといえば、トップハットを合わせますね。
このハットはシルクハットと呼ぶことがあるんですが、最初はシルクではありませんでした。
素材はビーバー。
だからビーバーハイハットと呼ばれます。
他にも形から、プラグハットという呼び名もあります。
さて、あまりにも紳士たちがこのハットをかぶったために、ビーバーの乱獲が進みました。
そこで素材が使用できなくなったわけです。代替えとしてシルクになりました。
展示されていた美しいトップハット。
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