中折れハットとは、帽子の中でも基本の形です。
これはクラウン(山)にセンタークリースと呼ばれるくぼみができているタイプの帽子。
ブリム(つば)がある、とてもコーディネートしやすい帽子(ハット)の1種です。
中折れタイプにもいろいろな形状があり、例えば写真の2つの帽子も、クリースの雰囲気が違います。
右の中折れハットは、ディアドロップ型。
中折れハットの素材
素材は、秋冬や春先にはフェルトの中折れ帽子。
夏にはリネンや、トキヤ草という天然草で編まれたパナマハットという帽子に、この中折れのタイプがあります。
日本では、柔らかい帽子を意味するソフトハットのことを、中折れハットと同じような意味で使う場合もあります。
中折れハットの誕生
中折れハットの誕生は、イタリアと言われています。イタリアの代議士 ロッビアが労働闘争の時に、杖で殴られて帽子のクラウン(山)がへこんでしまった。
しかしロッビアは、
「わしは、杖でなぐられるほどに政治に命をかけている!見てくれ、この帽子が物語っているじゃないか!」とその帽子をかぶり続けました。
そんなことから、今でもイタリアでは中折れハットのことをロッビアと呼びます。
中折れハットが登場する前、紳士はシルクハット(トップハット)を被って、スーツではなくフロックコートを着て過ごしていました。
時代が変わって、フロックコートはラウンジスーツ(今のスーツの原型と言われています)になり、糊付けされて固かったシャツも、柔らかくソフトになります。こうしてちょうど服全体が柔らかくなった時に、このソフトな中折れハットもぴったりだったのです。
洒落者たちがこぞって被ったので、中折れハット大流行となりました。
クリースのないハット
逆に中折れと呼ばれるセンタークリースのないタイプの帽子は、ご覧のようなボーラーという形状。
フォーマルシーンに合わせる、トップハットなどもクリースのない形状となっています。
もともとはフロックコートと呼ばれるコートが外出着でした。
そこに合わせるのが、トップハットです。
トップハットはビーバーの毛で作られていましたが、乱獲で原料の確保が難しくなり、シルクで代用しました。
そこでシルクハットと呼ばれるようになっていきます。
ところが時代が進んでフロックコートやモーニングコートのような服から、今のスーツ(ラウンジコート)に変わります。
こうして服装が変化した時に、トップハット(シルクハット)から自然と中折れハットにシフトしました。
服装と同じように、固いトップハットから、柔らかいソフトハットに変わったというわけです。
中折れハットのコーディネート
中折れハットはコーディネートの幅が広く、合わせやすいのが特徴です。
定番ですが、スーツスタイルに中折れハットは相性抜群といえます。
この時に注意したいのが、素材感です。
写真は、スーツの素材感が秋冬のやや起毛したフランネルという素材のスーツなので、ビーバーファーフェルトの中折れハットをコーディネートしています。
逆に春夏のスーツやジャケットなら、軽やかなリネン混素材のジャケットに、パナマハットを合わせると季節感がかもせます。
ニットなどにも相性抜群なのが中折れハット。
こちらはニットのピンクとブルーを、帽子のピンクとリボンのブルーで拾って統一感を出しています。
カーディガンなどのカジュアルな雰囲気ともマッチするのが中折れハット。
トレンチコートに中折れハットを合わせた事例。
コート類とも見事にマッチするのが中折れハット。
ポロコートと中折れハット。
中折れハットのかぶり方
中折れハットのかぶり方としては、ブリム(つば)を持ってかぶるのが基本となります。
かぶる際にクラウンを持たないように気をつけます。
これはマナーとしてなのですが、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
かぶったら鏡の前で整えていきます。
水平にかぶるのも正統派ですが、おすすめとしてはやや斜めにかぶるとこなれ感がでます。
気恥ずかしい場合は気持ち斜めで結構です。
自分にしかわからない程度でも良いので、しっくりくるポイントに動かしてみてください。
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